事務員の保育園日誌|複雑な保育園業務の改善方法を

保育園で働く事務員の日常や役立つスキル、業務の改善について紹介します!

【保育園業務解説!】監査資料から考える保育園における業務の義務性について  職員処遇「4:休日」「5:時間外労働」

前回は「3:労働時間」について解説・紹介しました。

今回は「4:休日」と「5:時間外労働」を解説・紹介していきます。

一つ目の「休日」は、次の1つの項目に沿って調べられます。

(1)週1回又は4週4回以上の休日を与えているか

二つ目の「時間外労働」は、次の1つの項目に沿って調べられます。

(1)職員の時間外労働及び休日労働に関する協定書(36協定)があるか。また休日に勤務を行わせている場合、あらかじめ休日振り替えの措置をとっているか。

さらにこれらに関係する書類が、

・超過勤務命令簿

・休日勤務命令書

・時間外・休日労働に関する協定書

になります。そして対応する根拠法令が、

(1)・・・・・労働基準法第35条

(2)・・・・・労働基準法第36条

となります。それでは一つずつ確認していきます。

 

4:時間外労働

(1)週1回又は4週4回以上の休日を与えているか。

ここでは労働者の休日について確認しています。まずは疑問点をおさらいしましょう。

それでは、次に法令を確認していきましょう。

労働基準法

第三十五条 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日与えなければならない。
前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。

ここでは労働者に対する休日の与え方について定められています。

ここで定められているように、毎週最低1回の休日を与える事が義務となります。

ただしにもあるように、4週間で4日以上の休日を与えている場合は、毎週1回の休日を与える必要はありません。

つまり労働者への休日の与え方として、

1:「毎週、最低1回の休日を与えなくてはならない」

2:「4週間の中で4回の休日を与えなくてはならない」

の2つから必ず選ぶことになります。ここに休日を与え決まった日数を与える義務があります。

 

次に「時間外労働」について調べていきます。

 

5:時間外労働

(1)職員の時間外労働及び休日労働に関する協定書(36協定)があるか。また休日に勤務を行わせている場合、あらかじめ休日振り替えの措置をとっているか。

ここでは労働者の時間外労働に従事させる際の協定書の有無、また休日労働を命じた際の振り替え休日措置について確認しています。

まずは疑問点をおさらいしましょう。

まずは法令から確認していきましょう。

労働基準法

第三十六条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。
 前項の協定においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
 この条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができることとされる労働者の範囲
 対象期間(この条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる期間をいい、一年間に限るものとする。第四号及び第六項第三号において同じ。)
 労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる場合
 対象期間における一日一箇月及び一年のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させることができる時間又は労働させることができる休日の日数
 労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするために必要な事項として厚生労働省令で定める事項
 前項第四号労働時間を延長して労働させることができる時間は、当該事業場の業務量、時間外労働の動向その他の事情を考慮して通常予見される時間外労働の範囲内において、限度時間を超えない時間に限る。
 前項の限度時間は、一箇月について四十五時間及び一年について三百六十時間(第三十二条の四第一項第二号の対象期間として三箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあつては、一箇月について四十二時間及び一年について三百二十時間)とする。
 第一項の協定においては、第二項各号に掲げるもののほか、当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的第三項の限度時間を超えて労働させる必要がある場合において、一箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間(第二項第四号に関して協定した時間を含め百時間未満の範囲内に限る。)並びに一年について労働時間を延長して労働させることができる時間(同号に関して協定した時間を含め七百二十時間を超えない範囲内に限る。)を定めることができる。この場合において、第一項の協定に、併せて第二項第二号の対象期間において労働時間を延長して労働させる時間が一箇月について四十五時間(第三十二条の四第一項第二号の対象期間として三箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあつては、一箇月について四十二時間)を超えることができる月数(一年について六箇月以内に限る。)を定めなければならない。
 使用者は、第一項の協定で定めるところによつて労働時間を延長して労働させ、又は休日において労働させる場合であつても、次の各号に掲げる時間について、当該各号に定める要件を満たすものとしなければならない。
 坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務について、一日について労働時間を延長して労働させた時間 二時間を超えないこと
 一箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間 百時間未満であること。
 対象期間の初日から一箇月ごとに区分した各期間に当該各期間の直前の一箇月、二箇月、三箇月、四箇月及び五箇月の期間を加えたそれぞれの期間における労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の一箇月当たりの平均時間 八十時間を超えないこと。
 厚生労働大臣は、労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするため、第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項、当該労働時間の延長に係る割増賃金の率その他の必要な事項について、労働者の健康、福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して指針を定めることができる。
 第一項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者は、当該協定で労働時間の延長及び休日の労働を定めるに当たり、当該協定の内容が前項の指針に適合したものとなるようにしなければならない。
 行政官庁は、第七項の指針に関し、第一項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。
 前項の助言及び指導を行うに当たつては、労働者の健康が確保されるよう特に配慮しなければならない。
 第三項から第五項まで及び第六項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定は、新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務については適用しない。

長いので、いくつかに分けて確認していきます。

 

この労働基準法第36条では、時間外労働の導入において必要となる手続き等について定められています。

まず時間外労働を導入する際、「労働組合」または「労働者の過半数を代表する者」と「書面による協定」を締結しなくてはなりません。そして締結した協定書は「行政官庁」である労働基準監督署への提出が義務付けられています。

 

次にでは、締結した協定書に定めるべき5つ事項を謳っています。

  1. 時間外・休日労働に従事させることのできる労働者の範囲
  2. 時間外・休日労働をさせる期間
  3. 時間外・休日労働をさせる事実
  4. 時間外・休日労働をさせる期間において、労働させることが出来る時間と休日数
  5. 時間外・休日労働を正しく行うための厚生労働省令で定める事項

 

次にでは、「②4」の労働させることが出来る時間は、限度時間を超えないようにすることを定めています。
 
次にでは、「」の限度時間について1ヵ月45時間1年360時間と定めています。
ただし1年単位の変形労働時間制を採用している場合、限度時間は1ヵ月42時間1年320時間となります。
 
次にでは、職場の業務量が予期せず大幅に増加した場合、臨時的に③の限度時間を超えて労働させる必要が場合、時間外・休日労働の時間は1ヵ月100時間未満1年720時間未満に定めることができます。この場合は、時間外・休日労働をさせることが出来る月数を定めなければなりません。またその対象期間は6ヵ月以内になります。
 

次には、時間外・休日労働に従事させる際に満たさなければならない時間の要件があります。

  1. 坑内労働等、特定の業種(健康上特に有害な業務)の1日に延長できる労働時間は2時間まで。
  2. 1ヵ月の時間外・休日労働では合計100時間まで
  3. 対象期間中の1ヵ月間の時間外・休日労働平均労働時間80時間まで。

 

次にでは、厚生労働大臣は、時間外・休日労働を正しく行わせるため、協定書で締結した時間外・休日労働の際の留意事項、それに伴う賃金の増加等必要な事について、労働者の健康、福祉等あらゆる事情を考慮して、別に指針を定めることができます。
 
次にでは、使用者と労働者が協定を締結する場合、その内容が「」の指針に適したものでなくてはなりません。
 
次にでは、労働基準監督署は「」の指針について、協定を締結しようとする使用者と労働者に、必要に応じて助言または指導する事ができます。
 
次にでは、「」の労働基準監督署が助言、指導を行う際は、労働者の健康状態には色しなくてはなりません。
 
次にでは、「③~⑥」(第二号及び第三号に係る部分に限る)の規定は、新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務については適用しません。
 
長々と説明しましたが、監査資料で確認されていることは、

です。まずは「協定書の義務性」について確認します。

 

労働基準法第36条第1項』にあるように、時間外・休日労働をさせるには「労働組合」または「労働者の過半数を代表する者」との「書面による協定」を締結する事が義務として定められています。また締結するだけではなく、その協定書を労働基準監督署に提出して、はじめて効力を発揮するという書き方になっています。
 
つまり「時間外・休日労働」をさせる場合、労働組合等と書面の締結をし、かつ労働基準監督署に提出する事が義務となります
 
ここで注意したい事は、次の休日についてです。
労働基準法第36条』では、時間外・休日労働を導入する際の義務及び超過できる期間や時間、日数などを定めています。しかし休日について何ら定めていません。これは『前35条』と合わせて考える必要があります。
 
締結した協定書によって時間外・休日労働をさせる事は出来ますが、休日の付与は「1週間に1回」または「4週間に4回」と定められています。仮に、労働者に月曜から日曜までの労働を命じた場合第35条第1項違反します。その為、必然的に「4週間に4回」の休日を与えなくてはなりません。つまり残りの3週間で4回の休日を与えることになります。ここに振り替え休日を与える義務があります。
 

補足 超過勤務命令簿と休日勤務命令書は必要ない

ここで一つの疑問があります。
 
それは関係書類です。
 
繰り返しになりますが、この時間外・休日労働を命じる場合「時間外・休日労働に関する協定書」を労働組合等と締結しなければなりません。しかし根拠となる法令を確認しても「超過勤務命令簿」なる書類、または「休日勤務命令簿」なる書類、またはそれに類する帳簿の整備に言及した文言はありません。
 
この書類の内、まず「超過勤務命令簿」は必要ありません。これについては過去のブログに載せているのでご参照ください。
そして「休日勤務命令簿」ですが、これも必要ないと考えます。理由は2つあります。
  1. 根拠法令に帳簿の整備が書かれていないため。
  2. 使用者は労働者の労働時間を把握しなければならないため。
1つ目の理由は、上の法令を確認すれば分かる事なので省略します。2つ目の理由は、前回のブログで紹介した『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』の『4 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置』にて、次のように定められているからです。
使用者は、労働時間を適正に把握するため、労働者の労働日ごとの始業・ 終
業時刻確認し、これを記録すること。

ここで定められているように、労働時間の把握のため使用者に義務付けられている事は、労働日の始業・終業時間の確認記録です。つまり、その始業・就業時間を出勤簿に記録しておけば、改めて別に帳簿を整備する必要は無いという事です。

なぜなら出勤簿で時間の確認と記録は出来ているからです。

 

そうした理由から「休日勤務命令簿」は必要ないと考えられます。

ただし使用者超過・休日勤務の内容を把握しておかなければならないので、これは出勤簿に記載しておくことが望ましいでしょう。

※出勤簿への記録方法をタイムレコーダーにするとさらに手間が減ります。

 

まとめ

休日」「時間外労働」では、休日や代休付与の義務性、また時間外・休日労働を命じる場合に必要となる諸注意点について確認しました。その要点は次の3つにあると言えるでしょう。

休日の付与日数は、1週間に最低1回4週間に4回以上と義務付けられている。

時間外・休日労働を命じる場合、労働組合等と書面で協定を締結し、かつ労働基準監督署に提出しなければならない。

休日労働を命じる場合、「①」の観点から代休を付与しなければならない。

 

次回は「休暇等」について調べていきます。