事務員の保育園日誌|複雑な保育園業務の改善方法を

保育園で働く事務員の日常や役立つスキル、業務の改善について紹介します!

【保育園業務解説!】監査資料から考える保育園における業務の義務性について  職員処遇「6:休暇等」

前回は「4:休日」「5:時間外労働」について解説・紹介しました。

今回は「6:休暇等」を解説・紹介していきます。

 

「休暇等」について、次の5つの項目に沿って調べられます。

(1)年次有給休暇の付与日数及び繰越は適正に処理しているか。

「いる」場合

(ア)年次有給休暇の付与日数が10日以上付与される労働者は、年5日以上の年休を取得させているか。

(イ)パートタイム労働者にも労働日数に応じて、付与・繰越しているか。

(ウ)使用者による年次有給休暇の付与日数と時季指定を実施する場合、時季指定の絵致傷となる労働者の範囲及び時季指定の方法等について、就業規則に記載し労働者等の意見を聴取した上で労働基準監督署へ届け出しているか。

(2)年次有給休暇届は整備しているか。

(3)産前・産後休暇及び育児時間、生理休暇は就業規則に基づいて与えているか。

(4)育児休業、育児短時間勤務規程を整備しているか。また、同規程に育児を行う労働者の深夜業の制限を規定しているか。

(5)介護休業、介護短時間勤務規程を整備しているか。また、同規程に家族の介護を行う労働者の深夜業の制限を規定しているか。

さらにここに関係する書類が、

・年休簿

就業規則

雇用契約

育児休業等規程

・介護休業等規程

になります。そして対応する根拠法令が、

(1)・・・・・労働基準法第39条第1項 労働基準法第115条 労働基準法第39条第2項、3項 労働基準法施行規則第24条の3 労働基準法第39条第7項 労働基準法89条 

(2)・・・・・該当する法令なし

(3)、(4)、(5)労働基準法89条 労働基準法65条・67条・68条 育児休業介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第17条、第19条 育児介護休業法第18条、第20条

となります。それでは一つずつ確認していきます。

 

(1)年次有給休暇の付与日数及び繰越は適正に処理しているか。

ここでは「年次有給休暇」について、3つの観点から確認しています。

 

(ア)年次有給休暇の付与日数が10日以上付与される労働者は、年5日以上の年休を取得させているか。

(イ)パートタイム労働者にも労働日数に応じて、付与・繰越しているか。

(ウ)使用者による年次有給休暇の付与日数と時季指定を実施する場合、時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法等について、就業規則に記載し労働者等の意見を聴取した上で労働基準監督署へ届け出しているか。

まずは、疑問点をおさらいしましょう。

それでは、次に法令の確認していきましょう。

労働基準法

第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日有給休暇与えなければならない。

ここでは有給休暇の付与について、その対象者及び付与日数義務として定められています。

第百十五条 この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から二年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。

ここでは賃金の請求権に関する時効について定められています。

賃金の請求権は5年間、災害補償やその他の請求権は2年間となります。そしてこの「その他の請求権」に有給休暇が該当します。つまり付与された有給休暇を2年間使わなかった場合、その有給休暇はこの法令の定めるところによって消滅します。

第三十九条第二項  

② 使用者は、一年六箇月以上継続勤務した労働者に対しては、雇入れの日から起算して六箇月を超えて継続勤務する日(以下「六箇月経過日」という。)から起算した継続勤務年数一年ごとに、前項の日数に、次の表の上欄に掲げる六箇月経過日から起算した継続勤務年数の区分に応じ同表の下欄に掲げる労働日を加算した有給休暇を与えなければならない。ただし、継続勤務した期間を六箇月経過日から一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日の前日の属する期間において出勤した日数が全労働日の八割未満である者に対しては、当該初日以後の一年間においては有給休暇を与えることを要しない。

6箇月経過日から起算した継続勤務年数

 労働日

 1年

 1労働日

 2年

 2労働日

 3年

 4労働日

 4年

 6労働日

 5年

 8労働日

 6年以上

 10労働日

ここでは1年6ヵ月以上の継続勤務をした労働者に対して、有給休暇の付与及び、1年ごとに付与する有給休暇日数が定められています。ただし前年の出勤率8割未満の場合は有給休暇の付与は必要ありません

第三十九条第三項

③ 次に掲げる労働者(一週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間以上の者を除く。)の有給休暇の日数については、前二項の規定にかかわらず、これらの規定による有給休暇の日数を基準とし、通常の労働者の一週間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数(第一号において「通常の労働者の週所定労働日数」という。)と当該労働者の一週間の所定労働日数又は一週間当たりの平均所定労働日数との比率を考慮して厚生労働省令で定める日数とする。

 一週間の所定労働日数が通常の労働者の週所定労働日数に比し相当程度少ないものとして厚生労働省令で定める日数以下の労働者

二 週以外の期間によつて所定労働日数が定められている労働者については、一年間の所定労働日数が、前号の厚生労働省令で定める日数に一日を加えた日数を一週間の所定労働日数とする労働者の一年間の所定労働日数その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める日数以下の労働者

ここでは有給休暇を付与する特定の労働者について定められています。そしてこれに対応する規則が次の法令です。

労働基準法施行規則

第二十四条の三 法第三十九条第三項厚生労働省令で定める時間は、三十時間とする。

② 法第三十九条第三項の通常の労働者の一週間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数は、五・二日とする。
③ 法第三十九条第三項の通常の労働者の一週間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数と当該労働者の一週間の所定労働日数又は一週間当たりの平均所定労働日数との比率を考慮して厚生労働省令で定める日数は、同項第一号に掲げる労働者にあつては次の表の上欄の週所定労働日数の区分に応じ、同項第二号に掲げる労働者にあつては同表の中欄の一年間の所定労働日数の区分に応じて、それぞれ同表の下欄に雇入れの日から起算した継続勤務期間の区分ごとに定める日数とする。

④ 法第三十九条第三項第一号の厚生労働省令で定める日数は、四日とする。
⑤ 法第三十九条第三項第二号の厚生労働省令で定める日数は、二百十六日とする。
ややこしいですが、この2つの法令ではパートタイム労働者など所定労働日数が少ない労働者にも、その労働日数に応じて、年次有給休暇をする義務が定められています。

年次有給休暇

第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

(~中略~)

⑦ 使用者は、第一項から第三項までの規定による有給休暇(これらの規定により使用者が与えなければならない有給休暇の日数が十労働日以上である労働者に係るものに限る。以下この項及び次項において同じ。)の日数のうち五日については、基準日(継続勤務した期間を六箇月経過日から一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日をいう。以下この項において同じ。)から一年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。ただし、第一項から第三項までの規定による有給休暇を当該有給休暇に係る基準日より前の日から与えることとしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。

ここでは、有給休暇の時季指定について定められています。

時季指定とは、使用者が労働者に有給休暇を取得させる方法のひとつです。事業主は、有給休暇が年間10日以上付与される労働者に対して、取得日から1年以内に5日間の時期を特定して年休を取得させなければなりません。

 

有給の義務化

これは2019年の法改正によって新たに定められた法令です。日本の有給取得率は世界的にみるとかなりの低取得率となります。その原因は職場や同僚への配慮や違法な長時間労働などがあります。そのため、年間5日間の有給取得を義務付けることで、有給取得率を上げ働き方の改善を図る目的があります。

 

労働基準法

第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

一 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
二 賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
三 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
三の二 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
四 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
五 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項
六 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項
七 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
八 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項
九 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
十 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

 

ここでは就業規則に定めるべき事項について定められており、有給休暇は第89条第1項の「休暇」に該当します。

 

それでは(1)の各事項について、確認していきましょう

 

(ア)年次有給休暇の付与日数が10日以上付与される労働者は、年5日以上の年休を取得させているか。

まず、10日以上の有給が付与されている労働者に、5日以上の有給を取得させるのは労働基準法第39条第7項によって定められています。使用者は10日以上の有給が付与されている労働者に対して、時季指定を用いる事で5日以上の有給を与えなくてはなりません。ここに5日以上の有給取得の義務があります。

 

(イ)パートタイム労働者にも労働日数に応じて、付与・繰越しているか。

これは労働基準法第39条第3項と労働基準法施行規則第24条の3によって定められています。通常の労働者より労働日数が少ないパートタイム労働者にも、週や年間の労働日数に応じて有給を付与する義務があります。

 

(ウ)使用者による年次有給休暇の付与日数と時季指定を実施する場合、時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法等について、就業規則に記載し労働者等の意見を聴取した上で労働基準監督署へ届け出しているか。

これは有給の時季指定を実施する際に必要となる準備・手続き方法になります。これは労働基準法第89条に定められています。

 

注意すべきは、この第89条に、「時季指定」等について具体的な文言で記載されていない点です。

この法令は就業規則に定めるべき事項について定めてありますが、この中で有給に関する事項は「休暇」に該当します。時季指定も有給の付与に関係しているので、時季指定の対象者の範囲や方法について記載する義務があります。またこれらを記載する行為は、就業規則の変更になるので、労働者等の意見を聴き、行政官庁(=労働基準監督署)に届け出る義務があります。

 

(2)年次有給休暇届は整備しているか。

ここでは有給休暇の取得届を整備しているかを確認しています。

疑問点は、この「年次有給休暇届」は整備しないといけないのかと言う点です。

これまで紹介してきた法令を確認すると「年次有給休暇届」なる書類、または「有給の申請には届け出が必要」なる文言は見当たりません。

 

つまり、法令に従えば、「年次有給休暇届」なる書類は必要ないと言えるでしょう。

 

ただし、就業規則に有給の取得方法(例えば、有給の申請は〇日前までに申請する。その場合の申請方法等)について定めていれば、その方法に従わないといけません。現在は年5回の有給取得が義務化されました。だからこそ適切な有給の付与・取得管理の為には、有給休暇届を整備しておくことがベターでしょう。

 

(3)産前・産後休暇及び育児時間、生理休暇は就業規則に基づいて与えているか。

ここでは、産前産後休暇、育児時間、生理休暇の付与について確認しています。

まずは疑問点をおさらいします。

まずは対応する法令から調べていきます。

 

労働基準法

(産前産後)

第六十五条 使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない
② 使用者は、産後八週間を経過しない女性就業させてはならない。ただし、産後六週間を経過した女性請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。
③ 使用者は、妊娠中の女性請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。

ここでは産前・産後の働き方について定められています。

6週間以内に出産予定の女性が休業を請求した場合、また産後8週間を経過しない女性を就業させてはならないと義務付けられています。また業務転換の請求があった場合、軽易な業務に転換させることも義務付けられています。

 

労働基準法

(育児時間)

第六十七条 生後満一年に達しない生児を育てる女性は、第三十四条の休憩時間のほか一日二回各々少なくとも三十分、その生児を育てるための時間請求することができる。
② 使用者は、前項の育児時間中は、その女性を使用してはならない。

ここでは休憩時間とは別の育児時間について定められています。

就業中の休憩時間の他に、1日2回30分以上育てる時間を請求する事ができます。

 

労働基準法

(生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置)
第六十八条 使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。

ここでは生理休暇について定められています。

生理によって就業が困難な女性が休暇を申請した時は、その日に就業させてはいけません。

 

この3つの法令を確認してきましたが、共通しているのは、一部を除いて女性が休暇の請求してきた時に休暇付与等の義務性が発生するという点です。

 

その為、一応は「妊娠中にしろ、育児中にしろ、本人から休暇の請求が来ていないので、通常通り業務に当たらせても問題ない」という事は出来ます。

 

しかし妊娠や育児、生理の場合、就業が困難になることは当然です。

仮に請求が出ていなくても、そうした労働者を、使用者は常に気にかけつつ、いつでも休暇を与えられるようにしておくことが職員の為となり、職員を大切にすることに繋がります。

 

またこれらの休暇も労働基準法第89条に定められるように、就業規則に定めるべき事項の1つです。

 

(4)育児休業、育児短時間勤務規程を整備しているか。また、同規程に育児を行う労働者の深夜業の制限を規定しているか。

(5)介護休業、介護短時間勤務規程を整備しているか。また、同規程に家族の介護を行う労働者の深夜業の制限を規定しているか。

ここでは育児休業、育児短時間規程及び、介護休業介護短時間勤務規程の整備等について確認されます。

まずは疑問点をおさらいしましょう。

それでは法令を確認しましょう。

育児休業介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律

第十七条 事業主は、労働基準法第三十六条第一項の規定により同項に規定する労働時間(以下この条において単に「労働時間」という。)を延長することができる場合において、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者であって次の各号のいずれにも該当しないものが当該子を養育するために請求したときは、制限時間一月について二十四時間一年について百五十時間をいう。次項及び第十八条の二において同じ。)を超えて労働時間延長してはならない。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない。

一 当該事業主に引き続き雇用された期間が一年に満たない労働者
二 前号に掲げるもののほか、当該請求をできないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの
2 前項の規定による請求は、厚生労働省令で定めるところにより、その期間中は制限時間を超えて労働時間を延長してはならないこととなる一の期間(一月以上一年以内の期間に限る。第四項において「制限期間」という。)について、その初日(以下この条において「制限開始予定日」という。)及び末日(第四項において「制限終了予定日」という。)とする日を明らかにして、制限開始予定日の一月前までにしなければならない。この場合において、この項前段に規定する制限期間については、第十六条の八第二項前段(第十六条の九第一項において準用する場合を含む。)に規定する制限期間と重複しないようにしなければならない。
3 第一項の規定による請求がされた後制限開始予定日とされた日の前日までに、子の死亡その他の労働者が当該請求に係る子の養育をしないこととなった事由として厚生労働省令で定める事由が生じたときは、当該請求は、されなかったものとみなす。この場合において、労働者は、その事業主に対して、当該事由が生じた旨を遅滞なく通知しなければならない。
4 次の各号に掲げるいずれかの事情が生じた場合には、制限期間は、当該事情が生じた日(第三号に掲げる事情が生じた場合にあっては、その前日)に終了する。
一 制限終了予定日とされた日の前日までに、子の死亡その他の労働者が第一項の規定による請求に係る子を養育しないこととなった事由として厚生労働省令で定める事由が生じたこと。
二 制限終了予定日とされた日の前日までに、第一項の規定による請求に係る子が小学校就学の始期に達したこと。
三 制限終了予定日とされた日までに、第一項の規定による請求をした労働者について、労働基準法第六十五条第一項若しくは第二項の規定により休業する期間、育児休業期間、出生時育児休業期間又は介護休業期間が始まったこと。
5 第三項後段の規定は、前項第一号の厚生労働省令で定める事由が生じた場合について準用する。

小学校就学前の児童を養育する場合の制限時間や期間について定めてあります。

しかし育児休業について定められていますが、介護休業については定められていません。これはどういうことでしょうか?

 

それについて、次の第18条に定められています。

育児介護休業法

第十八条 前条第一項、第二項、第三項及び第四項(第二号を除く。)の規定は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者について準用する。この場合において、同条第一項中「当該子を養育する」とあるのは「当該対象家族を介護する」と、同条第三項及び第四項第一号中「子」とあるのは「対象家族」と、「養育」とあるのは「介護」読み替えるものとする。
2 前条第三項後段の規定は、前項において準用する同条第四項第一号の厚生労働省令で定める事由が生じた場合について準用する。

ここでは、先ほどの第17条を「要介護状態にある対象家族を介護する労働者」にも準用する事が定められています。つまり先ほどの第17条を育児休業に関する法律としてではなく、同時に介護休業としての法律であると定めているのです。

 

育児休業介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 

第十九条 事業主は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者であって次の各号のいずれにも該当しないものが当該子を養育するために請求した場合においては、午後十時から午前五時までの間(以下この条及び第二十条の二において「深夜」という。)において労働させてはならない。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない。
一 当該事業主に引き続き雇用された期間が一年に満たない労働者
二 当該請求に係る深夜において、常態として当該子を保育することができる当該子の同居の家族その他の厚生労働省令で定める者がいる場合における当該労働者
三 前二号に掲げるもののほか、当該請求をできないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの
2 前項の規定による請求は、厚生労働省令で定めるところにより、その期間中は深夜において労働させてはならないこととなる一の期間(一月以上六月以内の期間に限る。第四項において「制限期間」という。)について、その初日(以下この条において「制限開始予定日」という。)及び末日(同項において「制限終了予定日」という。)とする日を明らかにして、制限開始予定日の一月前までにしなければならない。
3 第一項の規定による請求がされた後制限開始予定日とされた日の前日までに、子の死亡その他の労働者が当該請求に係る子の養育をしないこととなった事由として厚生労働省令で定める事由が生じたときは、当該請求は、されなかったものとみなす。この場合において、労働者は、その事業主に対して、当該事由が生じた旨を遅滞なく通知しなければならない。
4 次の各号に掲げるいずれかの事情が生じた場合には、制限期間は、当該事情が生じた日(第三号に掲げる事情が生じた場合にあっては、その前日)に終了する。
一 制限終了予定日とされた日の前日までに、子の死亡その他の労働者が第一項の規定による請求に係る子を養育しないこととなった事由として厚生労働省令で定める事由が生じたこと。
二 制限終了予定日とされた日の前日までに、第一項の規定による請求に係る子が小学校就学の始期に達したこと。
三 制限終了予定日とされた日までに、第一項の規定による請求をした労働者について、労働基準法第六十五条第一項若しくは第二項の規定により休業する期間、育児休業期間、出生時育児休業期間又は介護休業期間が始まったこと。
5 第三項後段の規定は、前項第一号の厚生労働省令で定める事由が生じた場合について準用する。

 

育児介護休業法

第二十条 前条第一項から第三項まで及び第四項(第二号を除く。)の規定は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者について準用する。この場合において、同条第一項中「当該子を養育する」とあるのは「当該対象家族を介護する」と、同項第二号中「子」とあるのは「対象家族」と、「保育」とあるのは「介護」と、同条第三項及び第四項第一号中「子」とあるのは「対象家族」と、「養育」とあるのは「介護」読み替えるものとする。

2 前条第三項後段の規定は、前項において準用する同条第四項第一号の厚生労働省令で定める事由が生じた場合について準用する。

第19条では、育児休業を請求した労働者に深夜労働をさせてはならないことが定められています。そして第20条では、先ほどと同じように第19条を介護する労働者にも準用すると定めてあります。

 

しかし、ここで気になるのは規程の整備です。

法令を確認しても、規程の整備については定められていません。

これはどこに記載されているのでしょうか。

 

結論から言うと、規程の整備に関する法令等は見つけられませんでした。

 

ただし、次の法律が関係していると思われます。

 

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律

第二十一条 事業主は、労働者が当該事業主に対し、当該労働者又はその配偶者が妊娠し、又は出産したことその他これに準ずるものとして厚生労働省令で定める事実を申し出たときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働者に対して、育児休業に関する制度その他の厚生労働省令で定める事項を知らせるとともに、育児休業申出に係る当該労働者の意向を確認するための面談その他の厚生労働省令で定める措置
を講じなければならない。 
2 事業主は、労働者が前項の規定による申出をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。 

 

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則

(法第二十一条第一項の厚生労働省令で定める事項等)
第六十九条の三 法第二十一条第一項の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 育児休業に関する制度
二 育児休業申出等(育児休業申出及び出生時育児休業申出をいう。第七十一条において同じ。)の申出先
三 雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第六十一条の六第一項に規定する育児休業給付に関すること。
四 労働者が育児休業期間及び出生時育児休業期間について負担すべき社会保険料の取扱い
2 法第二十一条第一項の規定により、労働者に対して、前項に定める事項を知らせる場合は、次のいずれかの方法(第三号及び第四号に掲げる方法にあっては、労働者が希望する場合に限る。)によって行わなければならない。
一 面談による方法
二 書面を交付する方法
三 ファクシミリを利用して送信する方法
四 電子メール等の送信の方法(当該労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る。)
3 第一項に定める事項について、労働者に対して、前項第三号の方法により知らせた場合は、当該労働者の使用に係るファクシミリ装置により受信した時に、同項第四号の方法により知らせた場合は、当該労働者の使用に係る通信端末機器により受信した時に、それぞれ当該労働者に到達したものとみなす。

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」では、育児休業に関する制度の整備や労働者への聞き取り面談等を行う事が義務付けられています。ここで定められる「育児休業に関する制度」が、規程の整備に該当すると思われます。

考え方としては、「育児休業等に関する制度を書面にしてまとめた規程を整備する必要がある」という事かもしれません。

 

またここには書いていませんが、この第21条も育児休業としてだけではなく、育児休業にも準用する事が定められています。

 

つまり(4)(5)で確認される、育児休業と介護休業の整備規程の整備及び深夜業務の制限についてはこの法第17条~20条、法第21条によって定められているのです。

 

まとめ

「休暇等」では、有給休暇の付与や付与日数の義務性、また育児・介護休業の整備義務等について確認しました。その要点は次の3つにあると言えるでしょう。

①全労働日の8割以上出勤した労働者には、10日の有給を付与しなければならない。また5日間については事業主が時季指定をして取得させる義務がある。

産前産後育児生理休暇を請求してきた場合、休暇を与える事が義務となる。

育児・介護休業に関する規程を定めるとともに、休業を請求してきた者には特定の時間、または特定期間の休業を与え、かつ深夜労働をさせてはならない

 

次回は「非常勤職員」について調べていきます。