春。
出会いと別れの季節。そして、どこか心が浮足立ってしまう季節でもあります。
仕事もプライベートもなかなか落ち着かない。そんな時は休暇を取ってどこか遠くに出かけてみませんか?
さて今回の旅行先は「春の京都」。
目的は伝統芸能「春のをどり」。芸・舞妓の可憐で優雅な舞の鑑賞です。
そしてもう一つは「食事」。旅先で訪れる食事処も楽しみの1つ。
今回はそんな”花に団子”の二泊三日の京都旅行を紹介します。
春の京都に想いを馳せて
お寺の行事や同窓会など怒涛の年末年始を終えた1月中旬。
この時期から「春のをどり」のチケット販売が始まります。
良い席はすぐに完売してしまうので早めの購入が必要です。
今年は初日は「都をどり」、二日目は「京おどり」のチケットを購入しました。
本当は4月上旬の桜満開の時期に訪れたかったのですが、観光客の影響を考えて中旬以降に計画しました。春のシーズン中、京都には異常な数の観光客が訪れます。清水寺や伏見稲荷神社など、どこにいっても観光客だらけで風情もへったくれもあったもんじゃありません。
桜を愛でることは出来ませんが、それに勝るとも劣らない『春のをどり』。
心ゆくまで堪能したいと思います。
京都の宿、二つの宿
今回の旅は二泊三日の小旅行。
二日間とも同じ宿にするのか、それとも違う宿にするのか。
旅行ならではの贅沢な悩みでしたが、折角なので今回は二日間とも違う宿に宿泊しました。
『はる家 東山』
旅行初日。
この日は『都をどり』を観覧する日。まずはホテルに荷物を置くために東山三条界隈を目指します。
古川通りを南に歩くこと約3分。
商店街に面した、表屋造りの町屋を改修した宿です。
町家を改修した宿だけあって、中の作りは和の趣があります。
特に玄関から入ってすぐに居間を模した休憩スペースがありました。ちょっと一息にはもってこいの空間です。
今回、宿泊するのはドミトリータイプのベッド。
しかも二段ベッドの上下とも使用できるのは嬉しいところ。上段は宿泊スペース。下段は荷物を置いたり、ちょっとした作業もできるスペースになります。
ベッドルームには鍵もついているので防犯面も安心です。
また町家宿なので、トイレやシャワールームは基本的に共有となります。
今回は、宿泊税込みで1泊3,000円。リーズナブルな料金もこの宿の魅力です。
近くには、浄土宗の総本山『知恩院』や明智光秀の『光秀塚』、さらに白川が流れています。また商店街の中にある宿なので、夜の食事処にも困りません。
京都の風情も楽しみながら宿泊もできる宿、それが「はる屋東山」です。
『TSUKIMI HOTEL(つきみホテル)』
旅行二日目。
八坂神社から徒歩8分。道を外れた先にあるシンプルを追求したカプセルホテルです。
全体を白で統一した館内。清潔感のあるエントランスが特徴です。
このホテルも先ほどの「はる屋東山」と同じ、カプセルホテルになります。
コワーキングに適したシンプルな作業スペース、独立したキッチンスペースなど、長期滞在にも最適です。
そして場所もかなり魅力的。
八坂神社から歩いていけるので、祇園界隈は勿論、清水寺や二寧坂、三寧坂、ねねの道や高台寺など京都を代表する名所が徒歩圏内にあります。
宿泊スペースも大人一人が寝るには十分な広さ。またハンガーや小さな金庫も常設されているので利便性も完璧。
宿泊費は1泊5,000円とカプセルホテルにしてはちょいと割高かもしれませんが、そこからおつりが返ってくる程の立地の抜群さと快適さがあります。
旅行の本音
最近は物価高の影響もあって移動と食事にどうしてもお金がかかってしまいます。そのため宿泊費ぐらいは安く済ませたいのが本音。そこであれこれ考えた結果、カプセルホテルという選択肢が生まれました。
勿論、初めのうちはカプセルホテルへの宿泊には、次のような抵抗がありました。
周りの物音はうるさいかもしれない
荷物を盗まれるのではないか
しっかり身体を休めることができるのか
しかし一度勇気を出して泊まってみると、これが意外と快適に過ごすことが出来ます。これまでいくつかのカプセルホテルに宿泊してきましたが、どのホテルも防犯面についてはしっかりと管理されています。また女性専用のフロアがあるなど、女性の一人旅にも配慮したホテルがほとんどです。
今回の旅行で宿泊したホテルもそうした快適さと防犯面が両立しているホテルでした。
京都を訪れる際は、ぜひご検討を。
春のをどり
京都の春の風物詩『春のをどり』
京都にある4つの花街で、毎年3月下旬から5月上旬まで開催される舞踊公演です。
祇園甲部の「都をどり」、宮川町の「京おどり」、上七軒の「北野をどり」、先斗町の「鴨川をどり」
呼び方が異なるように、それぞれの花街の流派や演出で訪れる人を魅了します。
今回は祇園甲部の『都をどり』、そして宮川町の『京おどり』を観覧に行きました。
祇園甲部の『都をどり』
今年は明治五年の創始から数えて百五十回目の公演を迎えるメモリアルイヤー。
さらに今年の大河ドラマの題材にもなった紫式部にあやかってか、その題目も『都をどり百五十回源氏物語舞扇』全八景となります。
百五十周年という大きな節目でもあり、連日満員御礼だそうです。
今年はお茶席を予約しなかったので、すぐに指定された席へ。
舞台袖の中二階浅座敷という、なかなかに特別感のある席を予約しました。
待つこと数分。
開園を知らせるブザーと共に暗転。そして舞台で可愛らしい舞妓さんが舞い始めると「都をどり」の始まりです。
置歌から始まり、一度も途切れることなく全八景が演じられます。
やはり感動したのは、「置歌」です。
芸・舞妓さんが総出の、一糸乱れぬ舞は綺麗を通り越して感動すら覚えます。
その足さばきの美しさと言ったら...なかなか言葉に表せるものではありません。
宮川町の『京おどり』
はじめて観覧した『京おどり』。
現在、宮川町歌舞練場を修繕中のため、京都芸術劇場春秋座での講演となります。
題目は『時旅京膝栗毛』全九景となります。
この演目には事前ストーリーがあるようで、有名な「ヤジさんキタさん」がタイムスリップしてしまい、各時代を訪れるというストーリーになります。
平安時代からはじまり、現代へと繋がる一連の演目は、時に静かに時に激しく、見る人を飽きさせません。そして最後の宮川音頭は、今回出演した芸・舞妓が総出で歌いながら舞うというなんとも豪華絢爛な演目でした。
ふと隣の人を見ると、わずかに口ずさんいます。
宮川音頭は見る人も一緒に楽しめるコンサートのような演目でした。
『をどり』と『おどり』
このブログを読んでいる方でお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、宮川町以外の「春のをどり」は「をどり」標記ですが、宮川町のみ「おどり」の標記になるそうです。
これは宮川町の人たちが、現代の人たちにも京舞に親しみを持ってもらいたいという想いから「おどり」の標記にしたそうです。文字一つとっても、もてなしの心を感じさせてくれるエピソードです。
『食』に遊ぶ
旅行の楽しみの一つ『食事』
せっかくなので、どこかで美味しいものでも食べたいのというのが本音です。
今回は、立ち飲み屋にクラフトビールバーなど食欲の限りを尽くして楽しみました。
老舗の立ち飲み屋「たつみ」
以前から、どうしても行ってみたかったお店です。老舗の立ち飲み居酒屋であり、豊富なお酒や一品料理、そしてリーズナブルな値段設定が魅力のお店です。
「立ち飲み」スタイルのため、店内はお客さんでひしめきあってます。
しかしこれが意外と心地よいから不思議です。奥には座敷もあり、ゆっくりと腰を据えて楽しむことも出来ます。
そしてここには「ハイリキレモン」がありました。これは個人的には非常に嬉しい。
これだけ食べても会計は3,000円ほどとリーズナブルな点も嬉しい所です。
気軽に立ち寄れて、お財布にも優しい。何よりもおいしい料理とお酒。「ちょっと一杯」と立ち寄りたいお店です。
クラフトビールが美味い!「ビアバー ミヤマ162」
長年の酒飲みの直感を信じて入ったお店です。観光シーズンとあって店内は海外の方ばかりでした。
早速注文した、ビールは京都のクラフトビール。
あっさりとした風味のなかに、クラフトビール独特の苦みがたまりません。
そんなビールの味を楽しんでいると、マスターの方からお声が。
話を聞いてみると、なんとこの方も鹿児島出身というではありませんか!
出身地域は離れていましたが、まさか京都で同郷の方にお会いできるとは思っていませんでした。こうした出会いも旅の醍醐味です。
祇園の名店「京つけもの ぎおん川勝」
二日目の昼頃。
つきみホテルに向かう途中に見つけたのが、ここ「祇園川勝」。
このお店は東山界隈では有名な漬物店のようです。その店の店内で営業しているのが「お茶漬処ぶぶ家」です。
メニューは、すべて漬物をメインとした「ぶぶ漬け」。そのためメニュー自体の数はそう多くはありませんが、料理に使用される漬物の種類は多いのなんの。
ご飯と赤みその味噌汁で11種類のお漬物をいただくことができます。
またほうじ茶も用意されているので、気分によってはお茶漬にして食べることも可能です。
あっさりとした食事で、旅行の胃の疲れを休ませましょう。
アメリカンな朝食を「カクト」
さて最終日。
洋風の朝食が食べたいと思い、探していると近くにピッタリのお店が見つかりました。それがこの「カクト」
アメリカンモダンカフェが印象的なおしゃれな店内。
朝、晩と時間帯によって提供されるメニューが変化するなど、1つのお店で何度も楽しめるお店になります。
朝8時からの営業ですが、到着してみるとすでに長蛇の列が。
客層は海外のお客さんがメインのようです。
ようやく自分の番が回ってきたので、お店の看板メニュー「バターミルクパンケーキ」を注文。フワッフワのパンケーキと上に乗っているバターの濃厚さがなんとも合います。
会計は2,000円ほどと朝食にしては少し高い印象はありました。
しかし店内の雰囲気や食事の美味しさは一度訪れる価値のあるお店です。
おわりに
伝統芸能に触れ、美味しい食事に舌鼓をうつ。
なんとも贅沢な二泊三日となりました。欲を言えば、桜満開の鴨川で花見をしながら日本酒を飲むことが出来れば最高でしたが、そこは次回のお楽しみということで。
春はどこか浮足立つ季節。
心の向くままに出かけるのも春旅行の楽しみ方かもしれません。