保育園で出来る業務改善
施設にもよりますが、毎月、園児の身体測定を行っている園は多いと思います。
しかしこの身体測定ですが、実は毎月実施する必要はありません。
今回はこの身体測定について解説していきます。
毎月行っている園児の身体測定。これについても改善が可能です。
保育園で行われる身体測定ですが、結論から言いますと、これについて明確に法令等で定められていません。あるとすれば「健康診断」です。子どもの健康管理については「保育所保育指針第3章1-(2)」、「鹿児島県児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例第16条」、「児童福祉施設最低基準第12条」、「学校保健安全法第11条、13条」、「学校保健安全法施行規則第5条、6条、8条」に謳われています。
長いですが一つ一つ確認していきます。
保育所保育指針第3章1-(2)
(2) 健康増進
ア 子どもの健康に関する保健計画を全体的な計画に基づいて作成し、全職員がそのねらいや内容を踏まえ、一人一人の子どもの健康の保持及び増進に努めていくこと。
イ 子どもの心身の健康状態や疾病等の把握のために、嘱託医等により定期的に健康診断を行い、その結果を記録し、保育に活用するとともに、保護者が子どもの状態を理解し、日常生活に活用できるようにすること。
鹿児島県児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例第16条
第16条 児童福祉施設の長は、入所した者に対し、入所時の健康診断、少なくとも1年に2回の定期健康診断及び臨時の健康診断を、学校保健安全法(昭和33年法律第56号)に規定する健康診断に準じて行わなければならない。
4 児童福祉施設の職員の健康診断に当たっては、特に入所している者の食事を調理する者につき、綿密な注意を払わなければならない。
児童福祉施設最低基準第12条
(入所した者及び職員の健康診断)
第12条 児童福祉施設(児童厚生施設及び児童家庭支援センターを除く。第四項を除き、以下この条において同じ。)の長は、入所した者に対し、入所時の健康診断、尐なくとも一年に二回の定期健康診断及び臨時の健康診断を、学校保健安全法(昭和三十三年法律第五十六号)に規定する健康診断に準じて行わなければならない。
2 児童福祉施設の長は、前項の規定にかかわらず、次の表の上欄に掲げる健康診断が行われた場合であつて、当該健康診断がそれぞれ同表の下欄に掲げる健康診断の全部又は一部に相当すると認められるときは、同欄に掲げる健康診断の全部又は一部を行わないことができる。この場合において、児童福祉施設の長は、それぞれ同表の上欄に掲げる健康診断の結果を把握しなければならない。・児童が通学する学校における健康診断
・児童相談所等における児童の入所前の健康診断
・入所した児童に対する入所時の健康診断
・定期の健康診断又は臨時の健康診断
3 第一項の健康診断をした医師は、その結果必要な事項を母子健康手帳又は入所した者の健康を記録する表に記入するとともに、必要に応じ入所の措置又は助産の実施、母子保護の実施若しくは保育の実施を解除又は停止する等必要な手続をとることを、児童福祉施設の長に勧告しなければならない。
4 児童福祉施設の職員の健康診断に当たつては、特に入所している者の食事を調理する者につき、綿密な注意を払わなければならない。
学校保健安全法施行規則第5条、6条、8条
第2節 児童生徒等の健康診断 (時期)第5条 法第十三条第一項の健康診断は、毎学年、六月三十日までに行うものとする。ただし、疾病その他やむを得ない事由によつて当該期日に健康診断を受けることのできなかつた者に対しては、その事由のなくなつた後すみやかに健康診断を行うものとする。2 第一項の健康診断における結核の有無の検査において結核発病のおそれがあると診断された者(第六条第三項第四号に該当する者に限る。)については、おおむね六か月の後に再度結核の有無の検査を行うものとする。(検査の項目)第6条 法第十三条第一項の健康診断における検査の項目は、次のとおりとする。一 身長及び体重二 栄養状態三 脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無並びに四肢の状態四 視力及び聴力五 眼の疾病及び異常の有無六 耳鼻咽頭疾患及び皮膚疾患の有無七 歯及び口腔の疾病及び異常の有無八 結核の有無九 心臓の疾病及び異常の有無十 尿十一 その他の疾病及び異常の有無2 前項各号に掲げるもののほか、胸囲及び肺活量、背筋力、握力等の機能を、検査の項目に加えることができる。3 第一項第八号に掲げるものの検査は、次の各号に掲げる学年において行うものとする。一 小学校(義務教育学校の前期課程及び特別支援学校の小学部を含む。以下この条、第七条第六項及び第十一条において同じ。)の全学年四 大学の第一学年4 第一項各号に掲げる検査の項目のうち、小学校の第四学年及び第六学年、中学校及び高等学校の第二学年並びに高等専門学校の第二学年及び第四学年においては第四号に掲げるもののうち聴力を、大学においては第三号、第四号、第七号及び第十号に掲げるものを、それぞれ検査の項目から除くことができる。(~中略~)(健康診断票)第8条 学校においては、法第十三条第一項の健康診断を行つたときは、児童生徒等の健康診断票を作成しなければならない。2 校長は、児童又は生徒が進学した場合においては、その作成に係る当該児童又は生徒の健康診断票を進学先の校長に送付しなければならない。4 児童生徒等の健康診断票は、五年間保存しなければならない。ただし、第二項の規定により送付を受けた児童又は生徒の健康診断票は、当該健康診断票に係る児童又は生徒が進学前の学校を卒業した日から五年間とする。『学校保健安全法施行規則第5条、6条、8条』
(就学時の健康診断)第11条 市(特別区を含む。以下同じ。)町村の教育委員会は、学校教育法第十七条第一項の規定により翌学年の初めから同項に規定する学校に就学させるべき者で、当該市町村の区域内に住所を有するものの就学に当たつて、その健康診断を行わなければならない。(児童生徒等の健康診断)第13条 学校においては、毎学年定期に、児童生徒等(通信による教育を受ける学生を除く。)の健康診断を行わなければならない。2 学校においては、必要があるときは、臨時に、児童生徒等の健康診断を行うものとする。
一つ一つ確認していくと、全ての条文では共通して「年2回の健康診断を行わなければならない」ということが定められています。
しかし「身体測定」については明言されていません。
ここからも分かるように園児の「身体測定」自体には義務がありません。もし「うちの園は毎月行っているんだけど、、、」という園がありましたら、身体測定の実施回数を「2ヵ月に1回」等と減らしてみる、もしくは「5歳児は3ヵ月に1回、4~3歳児は2ヵ月に1回、2~0歳児は月1回」等、クラス毎によって実施回数を変えてみるのも一つの手段です。
※注意※
上記の条文から分かるように、「身体測定」に義務はありません。
しかし身体測定は園児の発達や発育など、「成長」を数字で確認できる資料でもあります。いきなり無くすのではなく、事前に園長先生や他の先生、栄養士の先生の意見も聞きながら判断する方がベターです。