事務員の保育園日誌|複雑な保育園業務の改善方法を

保育園で働く事務員の日常や役立つスキル、業務の改善について紹介します!

【簡単解説!】「義務」と「努力義務」の違いについて

「義務」と「努力義務」

趣味で始めた「保育園業務解説シリーズ」ですが、その本質は、保育園で行っている業務等に「義務性は存在しているのか?」を明確にする点にあります。

 

これまで「職員処遇」や「児童処遇」について調べてきました。

調べていくと、当たり前だと思っていた業務に実は義務性がなかったり、何気なく行っていた業務が保育園運営の根幹に関わっていたりと驚きの連続でした。

 

そんな保育園業務の義務性について、根拠となる法令を調べている時、たびたび見かける文言があります。

 

「〇〇するように努めなければならない」

 

一見すると、「〇〇」に当たる部分の実施に強制力がある印象を受けます。

しかし調べていくと、この「〇〇するように努めなければならない」という文言の「〇〇」部分の実施には強制力は存在しません

 

こうした文言で締められる法令を「努力義務」と言います。

 

この「努力義務」とは、どのように考えればいいのでしょうか?

また「義務」との違いは何でしょうか?

 

今回は、「義務」と「努力義務」について解説していきます。

 

義務とは?

まず「義務」について確認したいと思います。

調べてみると、次のように記載されていました。

義務【ぎむ】
法により強制をされる、負担のこと。

『法律や民法の解説辞書「民法大辞典」』より

この上なく、端的かつ明確な説明です。

 

このように「義務」には、こちらの意志に関係なく、法令によって負うべき負担を強制させられるものであると言えます。

 

それでは「努力義務」とはどのような意味があるのでしょうか?

 

努力義務とは?

義務には「法令によって負担を強制させられる」という意味がありました。では努力義務にはどのように意味があるのでしょうか?

 

努力義務」と聞くと、どこか義務性を含めた言い回しに聞こえますが、実はそうではありません。次のような記載を見つけました。

努力義務とは、法律の条文で「~するよう努めなければならない」「~努めるものとする」と規定された義務のことです。

つまり、「努力をすること」が義務付けられています

努力義務規定に違反したとしても、刑事罰はもちろんのこと、行政罰(過料など)の制裁もありません。努力義務は、当事者の自発的な行為をうながす効果があるに過ぎません。

『SmartHR Mag』「「努力義務規定」とは? 意味や罰則有無、義務規定との違いを解説」より引用

このコラムを書いているのは弁護士の方ですので、一定の根拠にはなると思います。

それによると、「努力義務」とは、「努力すること」が義務付けられたものであり、「当事者の自発的な行為をうながす効果があるに」過ぎないとあります。

 

つまり、あくまで「これくらいは頑張ってくださいね~」的なお願いに近いものであると言えると思います。

 

また努力義務に違反しても刑罰等はないとありますが、努力する事が「義務付けられています」とあるように、全く努力しなくていい、という訳ではないでしょう。

 

個人的な考え方になりますが「努力義務」とは、努力する事が前提となっている法令です。しかし「努力」の実施は、個人や組織、職場のその時の状況によって、実施することが出来る事もあれば、できない事もあります。

 

つまり「努力義務」とは、「義務」のように必ず「負担」を負うべきものではなく、その時の状況に応じて負うべき「負担」、と言えるでしょう。

 

まとめ

確認してきたように、「義務」と「努力義務」には大きな意味の違いがありました。

 

しかし、この違いを明確に理解している人は少ないように思います。

 

僕自身も、実際に保育園の業務の義務性を調べるまでは、「努力義務」なる存在するら知りませんでした。「努力義務」を知り、調べていくと「義務」とは全く異なる意味であることを知ると同時に、いくつかの業務軽減と業務本来の意味を知る事が出来たように思います。

 

つまり法令の義務性を確認する事は、業務への理解を深めたり、また業務の削減等にも繋がります。

 

1つ1つの法令の確認は面倒ですが、必ず調べるようにしましょう。

思いもよらない発見があるかもしれません。