はじめに
保育園の運営は「社会福祉法」や「児童福祉法」、「保育所保育指針」などの様々に法令に基づき行われることになります。
これらの法令をもとに各施設では、園独自の理念や基本規程の設定、施設内の設備整備、提供する保育や職員の配置人数等を決定していますが、こうした運営が適切に行われているかを行政職員が確認することがあります。
これを「監査」と言います。
この監査で用いられる資料には、保育園の運営において整備しておくべき規程や常備すべき資料、提供すべき保育や環境等が書かれています。
つまり端的に言ってしまうと、この監査資料に書かれている事を守り運営することが「施設の適切な運営」になると言えるでしょう。
しかし監査資料を読んでいくと、いくつか矛盾があることに気が付きます。
例えば「A」という書類があったとします。
これが「監査資料」では「常備すべき書類」として書かれていても、その「根拠法令」には「記載が無い」場合があります。
つまり監査資料では義務性を謳っているように見えても、その実、法令では義務性を謳っていない場合があるのです。
業務の改善には監査資料
当然ですが、法令に書かれていないことを守る必要はありません。
以前はこうした矛盾に気づかず、妄信的に監査資料を重要視していましたが、あることがきっかけで、監査資料自体に疑問を持つようになりました。それから気になった業務があれば、その義務性について調べるようになり、結果として、いくつかの業務を削減することができるようになりました。
使用する監査資料と解説内容
こうした背景があったため、一度しっかりと監査資料をもとに保育園の業務の義務性について調べてみようと考えました。
今回使用する監査資料は、鹿児島県の児童福祉施設の監査に用いられる「No4-1児童福祉施設(保育園・保育所型認定こども園 令和3年度自主点検票」になります。(※こちらの資料は現在ホームページでも閲覧可能です)
監査資料の目次は次の通りです。
Ⅰ 基本事項
1 運営規程
2 情報の提供等
3 設備基準
4 人員基準
5 施設長
Ⅱ 職員処遇
1 就業規則の準備・運用
2 人事・労務管理体制
3 労働時間
4 休日
5 時間外労働
6 休暇等
7 非常勤職員
8 給与規程の整備及び給与支給状況
9 衛生管理者等
10 職員の健康管理
11 職員研修
12 秘密保持等
Ⅲ 児童処遇
1 定員管理
2 保育の計画と内容
(1) 全体的な計画
(2) 指導計画
(3) 保育の内容
(4) 障害のある子どもの保育
(5) 小学校との連携
(6) 保育の記録
(7) 子どもの権利条約、虐待への対応
(8) 健康管理の状況
(9) 疾病等への対応
(10) 食育の推進
(11) 保護者との連携
(12) 保育に関する評価等
(13) 地域交流等の状況
3 通園方法
4 開所時間及び一斉休園
5 相談・苦情への対応
6 入所児童に関する預り金について
Ⅳ 給食
1 給食の実施状況
2 給食材料
3 保健衛生管理体制
Ⅴ その他の衛生管理
1 その他の衛生管理
Ⅵ 非常災害対策
1 防災体制の状況
2 防災訓練の実施状況
3 事故発生時の対応
Ⅶ その他
1 公用車
この中でも特に「職員処遇」と「児童処遇」の2つを中心に解説・紹介していきたいと思います。
ただし目次を見てもらえると分かるように、例えば「児童処遇」だけでも項目が多いので、いくつかに分けて投稿しようと思います。ご了承ください。
今回の監査資料の解説が、各園の業務改善や業務に疑問を持っている職員の方々の一助になれれば幸いです。